目兎龍日記

徒然なるままにオタクが硯に向かひて書くブログです。

あゝ志摩マリンランド

はじめにー弾丸マリンランド訪問のきっかけ

 

この世に永遠なんてものはなくて、それは愛するものであっても同様。

 

そんなことを、あらためて思い知らされました。1月29日、何の前触れもなく投下されたこのツイートで。

 

 

あまりに唐突な出来事。このツイートを見てしばらくは、何も考えられませんでした。

 

志摩マリンランド近鉄のお膝元、三重県志摩市の賢島にある水族館です。三重県下には鳥羽水族館という日本最大級の規模の水族館もあり、志摩マリンランドはそれに比べると知名度も規模も劣ってしまいます。しかし、僕はこの水族館が大好きです。

この度、営業休止の知らせを聞き、いてもたってもいられなくなったので、お別れの意味も込めて最後になるかもしれない志摩マリンランドに行ってきました。訪問レポートのようにしようかとも思ったのですが、これまでたくさんの思い出をくれた志摩マリンランドに感謝の意を表するべく、思い出振り返りブログにしようかなと思います。とはいえ、訪ねることができない人が行った気になれるように、訪問時の様子もしっかり書きたいとも考えているのであしからず。

 

最初に一つだけ、言わせてください。今世界中がコロナウイルスの脅威にさらされ、日本でもいまだその危機は去っていません。そんな中、

 

「ただでさえ混雑が予想される水族館に、それも京都から行くとは何事だ!けしからん!!」

 

そう考える方もいるでしょう。それについて、まず弁明させてください。

今回マリンランドを訪れたのは2月下旬。まだ緊急事態宣言の渦中にある地域もありました。しかし、宣言の効果か少しずつ事態は落ち着いてきており、十分な感染対策のもと行動すれば感染の可能性、ウイルスを知らない間に運ぶという可能性は低いといえる状況でした。それに加え、マリンランドは3月末で営業を終えてしまいます。もう一生、行くことができなくなるかもしれないのです。マリンランドに行くことは、「不要不急」ではないと思います。そのようなことを考え、今回マスクの着用はもちろん、こまめな消毒、人と距離をとった行動など、細心の注意のもと訪問したということをお伝えしておきます。

 

…こんなことを言わないといけない世の中、つらいですね。

 

では、ここから本題です。僕の志摩マリンランド惜別のブログ、どうぞ最後までお付き合いください。

 

 

 

 

 

ペンギンー空腹と興味の化身

志摩マリンランドに入って、最初に見えるのはたくさんのペンギンたち。

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現在は、フンボルトペンギンとケープペンギンの二種類のペンギンがいます。昔は(僕が子供の頃は)キングペンギンもいたような?うろ覚えですが

 

このペンギンたちとの思い出といえば、やはり餌やり体験でしょうか。

多分小2の頃、家族でここを訪れた時に餌やり体験をさせてもらいました。ペンギンたちの間近に行き、魚を直接与えるという大変貴重な経験。しかし、同時にそれなりに過酷な経験でもありました。

 

あいつら、めっちゃ迫ってくるんです。大群で。

 

ペンギン特有の人懐っこさなのか、それとも食欲なのか…。とにかく、小2の自分には少し怖いくらい、襲い掛かってきましたね(つつかれもしたし)。懐かしいなあ

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あの頃僕を襲った子でしょうか(多分違う)、大あくびでした。今はただ可愛い。

 

干潟展示―何でこんな展示したの?

さて、ペンギンがたくさんの人の心を鷲掴みにしているその脇で、誰の人目に触れることもなくひっそりと、僕の大好きなスポットがあります。

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干潟の再現コーナーです。というか、写真に自分の影が落ちすぎている。写真下手か?

 

元々僕が海の生き物好きになったきっかけが干潟の観察会で、そのうえ中高時代はクラブで干潟の調査をしたりしていたので、干潟という環境には特に思い入れがあるんですよ。そんな僕の心をときめかせてくれる、素敵なコーナー。

 

もちろん、他の水族館にも干潟の展示はあります。ただ、水槽の中に干潟っぽい空間を作って生き物を入れているといった言ってしまえば簡素な展示が多く、こんな野ざらしで、現実の干潟のように満ち引きまで作ってある展示ってのはそれほどなかったような。妙なところに力を入れているなぁと、見るたびに感心するものです。

 

ただ、あまりにも現実に近いせいか、冬場は寒くて何の生き物もいませんでした。ぴえん。

 

古代水族館ーもはや博物館

館内入ってすぐ、左手にロマンに満ちたコーナーがあります。

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それがこの、古代水族館。地球47億年の移り変わりを、壁画やジオラマ、「生きている化石」の展示などで体感できる空間。それがなぜマリンランドにあるのかは謎ですが。

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こんな感じ。壁画にはそれぞれの地質年代を代表する生き物が描かれていて大迫力です。小さい頃恐竜図鑑を眺めて大喜びしていた時の記憶が甦り、まさに旧友と再会したような気分になれる。マリンランドでも特に大好きなコーナーです。

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ガー。

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カブトガニ。こうした「生きている化石」の生体展示も、抜かりない。

そして、

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「死んでいる化石」の展示も充実してます。何だよ、もう博物館じゃん。

伊勢志摩地域をはじめ日本で見つかった化石はもちろん、海外産の化石(レプリカ?)も展示されていて、大変見ごたえがあります。上のイクチオサウルスの説明書き「海にいた恐竜」ってのはちょっと引っ掛かりますが…。こういうちょっと抜けているところも、志摩マリンランドの味です。

 

本館ー定番も、マニアックも

館内はこんな感じ。

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水槽が映える、暗い館内は水族館の定番ちゃ定番。展示されている生き物も、サンゴ礁にいるカラフルできらびやかな魚がよく目につきます。これは、まあどこの水族館でも同じですね。特別マリンランドらしさというものは感じられません。

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ウツボ。可愛い。でも、

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こんだけいると話は別。ちょっと気持ち悪い()

 

のんびり口半開きで佇むやつ、水槽内を自由に泳ぎ回るやつ。あと1か月少々で引っ越しだというのに、マイペースな奴らばかりで癒されます。

 

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コバンザメ。彼らの神髄は自慢の小判で引っ付くことなんですが、

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引っ付かずにその小判をさらしている子もいました。こんな姿をじっくり見るのもなかなかに珍しい経験では。

 

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ハリセンボン。

こいつの前に指をやって、水槽越しに追いかけっこさせて遊んだのはいつだったかなあ。指についてきたのはその一回きりでしたが、楽しくてずっと追いかけっこしてました。この日はこんな調子だったので、追いかけっこはなし。

 

定番の生き物だけではなく、ちょっと珍しい生き物やマリンランドならではの生き物の展示も充実してるのがいいところ。

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金銀銅のオニオコゼ。金はもともと銅だったとか。めでたい。

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魚が大きく見えるという「球型水槽」。何で大きく見せようとしてるのかは永遠の謎。館内にこれだけしかない球型水槽のボスは、骨の見える魚とキスが喧嘩の武器の魚。これもずっとこの二種類のまま。

説明書きの字体もいいよね。

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コンペイトウの赤ちゃん。可愛すぎる。写真では大きく見えるものの、実際は爪ほどの大きさ。無限に眺めていたい。親もいるよ。

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今や水族館の定番「ニシキアナゴ」。マリンランドはその名付け親。マリンランド好き三重県民のちょっとした自慢。そしてこの説明だけ写真に撮って肝心の魚は撮ってない。なぜ…

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そして個人的なオススメはこいつ。

幼体の姿のまま大人になるのがアイデンティティアホロートルが、何の間違いかしっかり大人になってしまったやつ。

ウーパールーパーらしさは、強いて言えば肌の色くらいか。体型も変わり特徴を失い、エイリアンのような姿になったこの子は、生き物好きなら大喜びの一体。

少し下ったところに、たくさんのタッチプールがある子ども達に大人気のコーナーがあります。

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中でも大人気なのが、ドクターフィッシュ。昔は本館入ってすぐにいて、マリンランドの掴みを務めてたんですが、いつからかタッチコーナーの長になってました。

僕も来たら毎回手を掃除してもらいます。

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いやどんだけ群がるんだよ。僕の手汚すぎ…?

かじられるというより削られるような感覚が癖になる。それに、顔が可愛い。

 

回遊水槽ー海女の餌付けに釘付け

本館の目玉は、おそらくこの回遊水槽でしょう。

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大きな魚が、円状の水槽内をすいすいと泳ぎ回るその姿は、圧巻の一言。

この水槽では、伊勢志摩地域(というより鳥羽が有名ですが)の名物といっていいのかわかりませんが、有名な「海女」による餌付けイベントが行われます。といっても、僕が行くときはいつもタイミングが合わず、実際に見たことはなかったんですが、今回はようやっと見ることができました!やったぜ!!

 

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写真下手すぎワロタw

いやあ、感動のあまり見とれてたら写真を撮るってことを忘れてまして。慌てて撮ったらこのざまです。

まあ、この目によーく焼き付けて思い出にしたので、いいでしょう。大型魚に囲まれて餌をやっていた海女さん、あっぱれです。

 

マンボウ館ー真の主役はマンボウではない

本館とマンボウ館の間には、昔超小規模のゲームコーナーがあって、ぬいぐるみのUFOキャッチャーなんかで遊んだ記憶があるんですが、今はオオサンショウウオや地元の水産高校の生徒による展示になっています。

あのゲームコーナー、ローカル感があって好きだったなあ。もちろん、今の展示もいいですがね。

 

さて、マンボウ館はその名の通り、マンボウが展示されている場所です。

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志摩マリンランドの看板、マンボウ

県下の水族館でマンボウが見られるのは、マリンランドだけです。もっと大きなマンボウとか、巨大なエイが昔はいたのですが、今は小さめ(といっても大きいですが)なマンボウが数匹泳いでいます。

 

ペンギンの餌やり体験をしたのと同じ日だと思うんですが、このマンボウ水槽のバックヤードに入った覚えがあります。マンボウが餌をもらっているところを見たような?記憶が曖昧です。その時の写真とか、残ってないかなあ。

水槽の側にはベンチがあり、ここに腰掛けゆったり泳ぐマンボウを眺めながらのんびり過ごすってのが、至福のひと時なんですよ。まあ、今回は人がたくさんいたので座ることはできませんでしたが。

 

さて、マンボウ館はその名の通り、マンボウが主役のエリアなんですが、個人的にこの建物の主役は違う展示だと思っています。それが、こちら

※この下、ちょっと生々しい写真を載せるので苦手な人はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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足が96本あるタコと、

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巨大なサケガシラ

 

正直、マンボウより迫力あります。96本足のタコは、実際にマリンランドで飼育されていたようです。サケガシラは志摩に上がった個体で、サケガシラ界では最大級の個体だそう。

子どもの頃見た時に衝撃を受けてからすっかり虜になって、マリンランドに来る度に見てしまう。このためにマリンランドに来るのもいいですよ()

 

マンボウ館の上は展望台になっていて、英虞湾を見渡すことができます。

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冬の海はきれい。

伊勢志摩サミットの舞台にもなった、皇室御用達のホテル「志摩観光ホテル」も見えます。写真には写ってない。いい加減にしろよ…

 

おまけのコーナーー日本有数の名俳優と面白電車

お土産コーナーに向かいますが、それまでの短い道のりにも見るべきものがあります。

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ガメラ」の映画に出演した、名俳優カメ。

さすがカメ、僕が子供のころからずーっとここにいますが、いまだ元気です。可愛い。ちなみに本館には、彼らの子どもガメがたくさんいます。ガメラの子。

 

そして、とっておきはこれ

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近鉄100系のアトラクション。

 

…はい、冗談です。元々は100系新幹線の遊具だったのに、いつの間にかアーバンライナーの塗装になってしまいました。さすが近鉄運営の水族館。例え子供向けの遊具とはいえ、JRの存在を許さない。

 

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微笑ましいですなぁ

 

 

 

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こっちはちっとも微笑ましくない(1年ほど前の写真)

 

 

お土産とレストランー永遠の宝物を求めて

お土産コーナーに向かいます。

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入り口で出迎えてくれたペンギンで泣きました。こちらこそ、たくさんの思い出をありがとう…

マリンランドのお土産といえば、下敷きです(個人の感想です)。

子どもの頃に使っていたんですが、これを機に永久保存版として新品を購入。さすがに下敷きの絵柄をここに載せるのは違うかなって思うので、皆さんもぜひ行って購入してみてください。ちなみに、お土産コーナーはチケットを買わなくても入れます。

 

 

その他マリンランド土産を買って、二階にあるレストラン「マリン」へ。

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「マリン定食」(1500円)を注文。

 

いや、正直高いですよ?ええ。バリバリの観光地価格です。マリンランドに来るのが目的ではなく、伊勢志摩観光が目的の人なら、もっといいご飯屋さんがあると思います。

 

でも、この時の僕は違います。最後のマリンランドを限界まで楽しむのが目的だったんです。だからいいんです。

 

美味しかったですよ。それは間違いない。

 

さようなら、マリンランド

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以上、思い出をたどりながら最後のマリンランドを楽しんできたっていうブログでした。再入場無限回できるので、僕も二周してきましたよ。

 

本当に、志摩マリンランドにはたくさんの思い出をもらいました。いまだに、営業休止が信じられません。

でも同時に、最後に訪れることができて本当に良かったです。これで、悔いなくマリンランドとお別れできそうです。マリンランドの生き物はいろんなところに移動するそうですが、つまり他の水族館にマリンランドは生き続けるということです。そう考えたら、お別れも少し寂しくなくなります。

 

マリンランドの魅力は、「ちょうどいい」ことだと僕は思っています。規模、入場料、展示内容、すべてが「ちょうどいい」。水族館が好きな人も、生き物が好きって人も、大人も子どもも、みんながちょうどよく楽しめる水族館。

あと少しでお別れですが、もし行く機会がありましたら、そんなマリンランドの魅力を全身で感じて頂けたらなと、勝手に思っています。

 

実はまだ、いつかまた帰ってくるんじゃないかって期待を捨てきれずにいます。もしいつか帰ってきてくれるなら、その時は笑顔で「お帰り」って言いたいなって思います。

 

志摩マリンランド、本当にありがとう。楽しかったです。

またいつか、会える日が来ることを願って。

 

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